おじさんは予防線にはなりません
「また敬語ー。
敬語、禁止」

「えっと。
……なんでもないよ、大河」

「合格ー」

にこにこと嬉しそうに笑って私の隣に座る宗正さんに、苦笑いしかできなかった。


そのうち暗くなって、花火があがり出す。

「きれいだね」

「そう、だね」

そっと宗正さんの手が私の手にふれる。
その手はおそるおそる私の手に重なった。

「……嫌?」

こわごわうかがうように聞かれ、ふるふると首を振る。
不思議と宗正さんにふれられても嫌じゃなかった。

もしかしてこのまま、宗正さんを好きになれる?
そうしたら池松さんを忘れられる?
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