おじさんは予防線にはなりません
宗正さんは私に向かって意味深にウィンクしてきて、気を使ってくれたのが嬉しかった。


池松さんはちゃんと、このあいだの喫茶店に連れて行ってくれた。

「ハンバーグでいいのか」

「はい」

メニューは開いたけど、すぐに閉じた。
池松さんもメニューを閉じて店員を呼び、すぐに注文をはじめる。

「ハンバーグセットふたつ。
食後に本日のコーヒーで」

このあいだと全く同じ注文だけど、なんだかそれがいまは懐かしい。
関係が変わってしまったいまは。

「でもよかったのか、その、俺とふたりで食事とか」

水を飲みながら池松さんはちらちらと私をうかがってくる。
そういうのはちょっと、傷つくな。
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