おじさんは予防線にはなりません
「別にかまわないですよ。
浮気してるわけじゃないんですから」

私はもちろん浮気じゃないし、池松さんだってそういう気持ちはないだろう。
なら、問題なんてなにもない。

「ならいいけどな」

ぼそっと呟いて池松さんはまた、水を飲んだ。


適当に最近のことを話しながら食べる。

「宗正とはどうだ。
……ってこんなことを聞くのはセクハラか?」

「……セクハラですよ」

聞きながらもそんなことを気にしている池松さんがおかしい。
普段ならこういう話題は笑ってかわすけれど、池松さんからのこの話題は複雑な心境だ。

「私は宗正さんと……なんでもないです」

「どうかしたのか」

心配そうになった池松さんに曖昧に笑って誤魔化す。
< 142 / 310 >

この作品をシェア

pagetop