おじさんは予防線にはなりません
宗正さんといつもの居酒屋に行く。

――いつもの。

あれから宗正さんとは時々、ごはんに行ったりしている。

「もー、さー。
勘弁して欲しいー」

ぐったりとテーブルの上に崩れている宗正さんはかなりお疲れのご様子だ。

「ボールペン落としてもさ、気づいてるはずなのに拾わないの。
もうオレが拾うしかないから手ー伸ばすじゃん?
そしたら私もいま、拾おうとしてましたーってわざとらしく手、握ってきて。
しかも見つめないでほしいー」

ポテトを振り振りはお行儀悪いけど、宗正さんにとってこんなのはいつものことっぽい。
社内の人間なら邪険にできるけど、得意先の人間にはそうはいかないから、困っているらしい。

「大変だね、大河も。
今日は飲も?
飲んで忘れちゃお?」

「詩乃ー」
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