おじさんは予防線にはなりません
宗正さんが泣き真似するから、苦笑いしかできない。
たわいのない話をしながらふたりで飲む。

宗正さんは一杯目はビールでそのあとはハイボール。
私はずっとカシスソーダ。
はじめて頼んだとき、宗正さんはらしいと嬉しそうに笑っていた。

「週末、詩乃、暇?
見たい映画があるんだけど、一緒に行かない?」

「あー……」

週末は暇だ。
特にすることもないし、きっとベッドの中でネット小説を読んでいるだけで終わる。

「暇なら、いこ?」

可愛らしく宗正わんこに小首を傾げられてお願いされるともーダメ。
嫌だなんて言えなくなる。

「いいよ。
なに見に行くの?」

「邦画で、青春ラブコメなんだけど。
そういうのは嫌い?」
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