おじさんは予防線にはなりません
不安そうにうかがわれ、可愛いなーとか思ってしまう。
相手は年上の男なのに。

「ううん、全然。
楽しみにしてる」

「やったー」

見えないしっぽをパタパタ振っている宗正さんはやっぱり可愛いなーと思うんだけど、同時に胸の奥が針で刺したかのようにチクリと痛む。


宗正さんとの関係は友達だと割り切るようにしていた。
宗正さんもそれでいいよって言ってくれたし。

でも週末の映画が私にとって友達と遊びでも、宗正さんにとって片想いの女の子とデートだって理解していた。
わかっていて、知らないフリをして。

――私は酷い女だ。



日曜日、映画館の最寄り駅で待ち合わせ。
友達に会うときみたいに、Tシャツにデニムスカートじゃなくて、水色のワンピースに白のカーディガンを羽織る。
それくらいはしないと、宗正さんに失礼だと思うから。
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