おじさんは予防線にはなりません
宗正さんはいたって普通なんだけど……まわりが気にならないのかな。

「し、しましたよ、ちゃんと戸締まり!」

意地悪く口元だけで笑う宗正さんに昨日のあれが思い出される。
不意打ちのキスはまだ、……許してないんだから!

「もしかして、まだ怒ってる?」

「うっ」

くぅーん、そんな音付きで、上目でうかがわれると、言葉に詰まってしまう。

「もう……」

バン!

「ねえ!」

ため息をつきつつ怒っていないと言おうとしたら、突然、机を叩く大きな音と共に布浦さんに遮られた。

一瞬にして空気が張りつめる。
誰もが布浦さんが口を開くのを固唾を飲んで待っていたけれど。
< 170 / 310 >

この作品をシェア

pagetop