おじさんは予防線にはなりません
それに……真剣に宗正さんを想う布浦さんに比べ、その気持ちを利用している私は最低だ。

俯いて私が黙ってしまい、布浦さんは腕を組んで苛々とつま先を床に打ち付けた。

「ほんと大河、こんな子のどこがいいんだろ!?」

そんなことは宗正さんに聞いて欲しい。
私だってこんな最低人間の私を、いまだに好きだって言ってくれる宗正さんがわからない。

「詩乃こっちにいるー?」

「……!」

その場に似つかわしくないのんびりした声がして、布浦さんがびくんと身体を震わせる。
そのまま、おそるおそるそこに立った人へと視線を向けた。

「大河、その。
これは、あの」

「オレはなにも言ってないけどー?」

宗正さんがうっすらと笑い、布浦さんはがたがたと震えだした。
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