おじさんは予防線にはなりません
「社則で正社員と非正社員の夫婦は同じ職場にはいられない。
そうなると、羽坂の立場が悪くなるんだが……」

予想通りの答えなのに、がっかりしている自分がいる。
欲しい答えなんて期待したって無駄なのに。

「心配していただいてありがとうございます。
でも、婚約したわけじゃないので」

「そうか。
でも結婚が決まったときはすぐに言えよ?
羽坂が不利にならないように考えるから」

「はい、ありがとうございます」

いまの私はちゃんと笑えているだろうか。
こんなに……こんなに、胸をかきむしり、悶えるほど苦しい想いを、この人に知られてはいけない。
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