おじさんは予防線にはなりません
ピコン、通知音が鳴り、携帯をバッグの中から取り出す。

【帰り道、気をつけなよ】

【なにかあったら即電話】

【防犯ブザーは握っとくこと】

猫のスタンプと共に送られてきた言葉の数々に、思わずくすりと笑いが漏れる。

【わかった。
気をつけるよ】

画面に指を走らせて送るとすぐに既読になった。

【詩乃は危機感薄いから心配】

【やっぱり送ればよかったかな】

バッグの内側に下がる、赤いハート型の防犯ブザーが目に入ってくる。
私が持っていないって言ったら速攻で大河から買い与えられた。
そのうえ、遅くなった日はときどき送ってくれる。
そうなると高確率でうちに泊まりになって翌日一緒に出社し、布浦さんたちから睨まれるんだけど。
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