おじさんは予防線にはなりません
お礼を言って早々に立ち去りたいのに、止まらない呪詛のような言葉に反応して背中がぴくんと揺れた。

「……いいんですよ、別に……。
……ええ……ええ……かまいませんとも……。
……仕事にさえ……支障をきたさなければ……」

これは暗に私と宗正さんの関係を責めているのだろうか。
そのあたりの小さなごたごたは耐えないだけに、いつもは影の薄い本多課長にぞっとした。

とにかく職場で休みは取れたので派遣会社の担当の、早津さんに連絡を入れる。

【羽坂さん、有給使えますけどどうしますか?】

返信のメッセージに思わずかくんと首が横に傾いた。
マルタカに来てようやく四ヶ月に入ったところだから、有給無いと思うんだけど……?

その旨返信し、少しして早津さんからの回答があった。
前の建築会社からマルタカへ契約の途切れなく働いているから、有給が付いているらしい。
知らなかった。

有給があるなら使うに越したことはない。
それに有給だったら大河が私を雇うなんて変なことはしないでいいし。
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