おじさんは予防線にはなりません
不思議そうに首を傾けた池松さんだけど……すぐにぴたっと手が止まる。
そのままみるみるうちに顔を赤く染め、ゆっくりと手を私から離した。

「……その。
……すまん」

目を逸らし、池松さんは照れくさそうに頬を人差し指でポリポリと掻いている。

「……いえ。
別に」

もう!
恥ずかしがらないでください!!

私の方が恥ずかしくなってくるし、……それに。
そんな可愛い姿見せられたら、胸がきゅんきゅんしちゃいますから!

でもそんなことをするのは、池松さんは私が宗正さんと付き合っているって信じ切って、ガードを完全に解いたからなんだろう。
以前と同じように接してくれるのは嬉しい。

――けれど同時に。
< 187 / 310 >

この作品をシェア

pagetop