おじさんは予防線にはなりません
そんな不安が一瞬よぎったが、気づかなかったフリをした。



翌朝、大河は昨日のことなんて無かったかのように明るかった。

――明る過ぎた。

それが空元気だって気づいていたけど、私も何事もなかったかのように明るく振る舞った。

「ほら、詩乃、馬に人参あげなよ」

「うん」

観光牧場で動物に餌をあげたり、もふもふのうさぎを抱っこしたりしてはしゃいで忘れる。

「ちょっと休憩しよっか」

「そーだね」

牧場自慢のソフトクリームを買って、座れるところを探す。
空いていたベンチに腰を下ろそうとして、隣のベンチに座っていた人が気になった。

「どうかしたの?」
< 207 / 310 >

この作品をシェア

pagetop