おじさんは予防線にはなりません
隣のベンチを気にする私の顔を、大河が不思議そうにのぞき込む。

「どこかで会ったことある人だと思うんだけど……」

私たちと同じように仲良くソフトクリームを食べている男女の、女性の方に見覚えがある気がする。

女性の方も私を気にしているようだし。

赤に近い茶髪のマニッシュショートに、マリンボーダーのニットと白のパンツ。
こんな美人、一度見たら忘れないと思うんだけど……。

ソフトクリームを食べながら、あたまの中のアルバムをめくっていく。
さほどめくらないうちに、目的の人物を見つけた。

「……池松さんの奥さん」

「あーっ、和佳の職場の子!」

私と奥さん――世理さんが声をあげたのは同時だった。

「奇遇ね、こんなところで会うなんて」

「はぁ……」
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