おじさんは予防線にはなりません
世理さんは嬉しそうににこにこ笑っているけど……一緒にいる人は誰ですか?
ずいぶん若い、私と同じ年ぐらいにしか見えないんですが。

「詩乃、誰?」

ちらちらと大河の視線が世理さんに向かう。
そりゃ、こんなに美人だったら気になるよね。

「池松さんの奥さんで……」

「世理でーす」

「えっ、池松係長の奥さん!?
いつもお世話になっております、池松係長の後輩の宗正です!」

ひらひらと手を振る世理さんに、大河は立ち上がって勢いよくあたまを下げた。

「やあね、奥さんだなんて!
お休み取ってふたりで旅行?
あれ、でもあなた、和佳と付き合ってるんじゃなかったっけ……?」

「……付き合ってないです」

そういえばこのあいだ言っていたな、さっさと付き合っちゃえばとか。
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