おじさんは予防線にはなりません
「そう、なんですね……」

「だから羽坂が気にする必要はない」

笑った池松さんはどこか淋しそうで胸がずきんと痛んだ。
同時に、さっきの彼の言葉がどこか引っかかっていた。



次の週末は、九月に異動になる人たちの送別会だった。

「……」

隅の席で、女性陣に囲まれている大河をちらり。

「大河、食べてる?」

「食べてるよ」

「あ、ほら。
グラス空いてる。
なに飲む?」

布浦さんに迫られても、大河は淡々と相手をしていた。

「羽坂、飲んでるか」

「あ、はい」
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