おじさんは予防線にはなりません
狡い、けれど事実、だ。

「それでもいい、です」

池松さんの顔が、ぐるぐる回る。
なにか言っているけれどよく聞き取れない。
そこで記憶が、途絶えた……。



「んー……。
いま、何時……?」

枕元を探り、携帯を掴む。
時間を確認したら、起きるにはまだ早かった。
二度寝を決めこもうとして……違和感に、気づいた。

「……?」

もそもそと起き上がり、辺りを見渡す。

あきらかにそこは、私の部屋ではなかった。

寝ていたのはいつもの狭いシングルベッドじゃなく、広いクイーンサイズのベッド。
白を基調にした清潔な部屋は、おしゃれな映画にでも出てきそうだ。
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