おじさんは予防線にはなりません
後ろから声をかけられ、振り返る。
そこには大河が立っていた。
「……はい、確かに」
差し出された領収書を受け取り、短く頷く。
「……じゃ」
たったそれだけで大河は外回りに出ていった。
バッグを掴む大河の左手薬指からは――指環が、消えていた。
……外したんだ。
大河には私を忘れて幸せになってほしい。
私にこんなことを願われては、迷惑かもしれないけれど。
それぞれにいろいろな感情を抱えながら、表面上は何事もなかったかのように過ぎていく。
でもそれでいいと思った。
このままこの関係が続けばいい。
けれどそんな私の願いを嘲笑うかのように――世理さんがいなくなった。
そこには大河が立っていた。
「……はい、確かに」
差し出された領収書を受け取り、短く頷く。
「……じゃ」
たったそれだけで大河は外回りに出ていった。
バッグを掴む大河の左手薬指からは――指環が、消えていた。
……外したんだ。
大河には私を忘れて幸せになってほしい。
私にこんなことを願われては、迷惑かもしれないけれど。
それぞれにいろいろな感情を抱えながら、表面上は何事もなかったかのように過ぎていく。
でもそれでいいと思った。
このままこの関係が続けばいい。
けれどそんな私の願いを嘲笑うかのように――世理さんがいなくなった。