おじさんは予防線にはなりません
たわいのない話をしながら食事は進んでいく。

「羽坂が来てもう半年か。
けっこう続いてるよな」

もう九月も半ばに入った。
酷い環境で、一日でめげそうになったけれど、まだここで働いている。
それもこれも。

「池松さんのおかげです。
……あと、宗正さん」

池松さんがなにかとフォローしてくれたから、ここまで頑張れた。
大河も、ああなる前は私を支えてくれた。
ふたりには感謝しかない。

「俺はなにもしてない。
羽坂が頑張ったんだ」

ううん、首を横に振る。

「池松さんのおかげです」

「……そうか」

短くそれだけ言って、池松さんはおちょこを口に運んだ。
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