おじさんは予防線にはなりません
じゃないと私が、つらくなる。

「羽坂はそれで本当にいいのか」

じっと、池松さんが私を見つめる。
真っ直ぐなその視線に、目は逸らせない。

「はい。
池松さんもその方がいいですよね」

「俺は……そうだな」

ふっ、私から視線を逸らし、池松さんはまた、食事を再開した。

「池松さんはなんだったんですか」

「俺か?
俺はもう、いい。
それより早くメシ食わないと、遅刻するぞ」

「えっ、もうそんな時間ですか!?」

慌てて、残りのごはんを食べる。
なにか誤魔化された気がしないでもないけど、それ以上聞けなかった。


出社して、いつも通りに仕事をこなす。
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