おじさんは予防線にはなりません
私が招待状を受け取ると、大河はなんだか恥ずかしそうに笑った。

「それにしても池松課長、結婚式挙げないとか酷くない?
自分は再婚だからいいかもしれないけど、詩乃は初婚だよ?
しかもいま、四ヶ月だっけ?」

大河はあきれ気味だけど、私はなにも言えない。
だってこれは……私だって、悪いから。



マルタカを辞めてすぐあと、池松さんの紹介でP&Pの社長秘書として働きはじめた。

「こちら、P&Pの社長兼デザイナーの五嶌千明希(ごとうちあき)さん」

「はじめまして、五嶌です」

池松さんから紹介された彼よりも少し年上の女性は、やせ気味で神経質そうな人だった。
彼はただの変人だから大丈夫、なんて笑っていたけれど……。
本当に、大丈夫なのかな。

「こっちは元俺の部下の、羽坂詩乃」
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