おじさんは予防線にはなりません
離婚は成立しているんだし、当然といえば当然だけど。


世理さんとお茶なんて気まずいしお断りしたかったんだけど、私が終わるまで彼女は待っていた。

「近くに美味しい、オーガニックカフェがあるの。
行きましょ」

行くともなんとも言っていないのに、世理さんは私の腕を取って歩きだした。

連れてこられたカフェは隠れ家的な場所で、とても感じがよかった。
きっと、こんなときじゃなかったら楽しめたのに。

「きっとね、こうなるんじゃないかなって思ってたの」

渉さんの隣で、世理さんはにこにこ笑っている。

「よかった、和佳の後押しができて」

世理さんの言っていることはちっとも理解できない。

「その……」

どうして出ていったんですか、なんて気になるけれど聞きにくい。
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