おじさんは予防線にはなりません
夜、帰ってきた和佳さんに、世理さんとの話をするべきか悩んだ。

「どうかしたのか?
もしかして、なにか問題でもあったのか?」

心配そうに和佳さんの顔が曇っていく。

「その……。
和佳さんは世理さんのこと、いまはどう思ってるんですか」

「なんだ、藪から棒に」

和佳さんは苦いものでも噛みつぶしたかのように、嫌そうな顔をした。

「いいから」

「そうだな……」

しぶしぶ、だけれど和佳さんが口を開く。
聞かれたくない話題だとわかっている。
けれどどうしても、聞きたかった。

「正直、別れてほっとしている。
昔は待っときゃ帰ってくるって思ってたが、最近はこれで結婚している意味があるのか、とか考えていたからな。
でもずるずると離婚を切りだす気もなかった。
あっちから出ていってくれたのは、少し感謝だな」
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