おじさんは予防線にはなりません
困ったように和佳さんが笑う。
その顔に、ほっとした。
もう、和佳さんの中では完全に世理さんのことは片付いている。

「でもどうしたんだ、急に」

「なんでもないですよ」

笑って、甘えるように肩にあたまを預けた。

和佳さんの中で片付いているのなら、もうこれ以上、世理さんの話題は必要ない。
今日、会ったことも話す必要はない。

「そういや宗正の奴、もうすぐ結婚するらしいぞ。
例の、アメリカ人社長と」

「そうなんですか!?
かなりのスピード婚ですね」

「かなりぐいぐい押してくるらしいが、宗正もまんざらじゃないらしい」

大河が最近、取引をはじめた、アメリカの会社の社長さんと付き合っているのは和佳さんか聞いていた。
しかもタイプは、私と全く反対らしい。
意外、だけど裏表のない明るい人みたいだから、そういうところがいいのかも。
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