おじさんは予防線にはなりません
「素直に敗北を認めたらどうですか」

ごめん、大河。
さっきから余裕で構えている黒ラブに、キャンキャン吠えているミニチュアダックスにしか見えない。

「敗北もなにも、詩乃を幸せにできるのは俺だけだからな」

くいっ、和佳さんが中指で眼鏡を上げる。
そういうのは……嬉しすぎます。

「い、いまに見てろよ!
リズを詩乃より、幸せにしてみせるんだからなー!」

キャインキャイン、まるでそんな鳴き声がぴったりな感じで、大河は駆けていってしまった……。

式は奥さんの希望で神社だった。
白無垢姿の奥さんに少し、憧れた。
結婚式はしなくていいって言ったものの、やはり着てみたかったなって。

披露宴は色打ち掛けにお色直し。

いいな、ああいうの。

「やっぱり詩乃も、ああいうのが着たかったか」
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