おじさんは予防線にはなりません
「まあさ、一応、約束は守ったんだから許してあげてもいいんじゃない?」

「そうだね」

「でもさ、詩乃はほんとにあんな最後でよかったの?
オレはけっこういい最後にしてくれたけどさ。
まだ作者脅せば、変更きくんじゃない?」

うんうんと頷きながら話を聞いていた和佳さんの肩が、ビクッと跳ねた。
やっぱり、少し後ろめたさがあったようだ。

「いいんだよ、どんな過程だったとしても和佳さんは私を大事にしてくれるし。
満足、してる」

そっと甘えるように肩へあたまを預けると、和佳さんが手を握ってくれた。
そんなことだけで幸せって、変なのかな。

「まあ、池松課長が詩乃を大事しているのは知ってるけどー。
知ってる?
この人さ、井村さんとかにいろいろ聞いてんの。
妊娠中や産後にやってほしいこととか気をつけてほしいこととか」
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