おじさんは予防線にはなりません
手を出すと、いつも通りパインアメがのせられる。

「ありがとうございます」

「ん」

私が受け取り、ぽいっと自分の口にも池松さんはパンアメを放り込んだ。

前から思っていたけど、なんでいつもパインアメなんだろ。
ちょっと気になる。

「今日は昼メシ、一緒に食いに行かないか。
どうせ弁当、持ってきてないんだろ」

少しだけ俯いて、池松さんはくいっと眼鏡を押し上げた。

「なんで知ってるんですか?」

確かに今日、お弁当は持ってきていない。
けれど、池松さんにそんな話は一言もしていなかった。

「ピンクの花柄のバッグがない日は弁当がないんだと気づいた。
今日は持ってなかっただろ」

ピンクの花柄のバッグはお弁当用のサブバッグだ。
いつもその中にお弁当と水筒を入れてくる。
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