おじさんは予防線にはなりません
でもそんなのがわかるなんて、池松さんって人をよく見ているんだな。

「……昨日、なかなか眠れなくて。
起きたらぎりぎりでお弁当作る時間がなかったんですよ……」

滅多にない長い連休、夜遅くまで起きていてお昼まで寝る生活をしてしまったせいか、昨晩はなかなか眠れなかった。
早く寝なきゃって思えば思うほど目が冴え、寝付いたのは結構遅く。

「休みのあいだ、だらだらしてたんだろ」

「……うっ」

意地悪く池松さんの唇が歪む。
図星なだけに言い返せない。

「まあ俺も、人のこと言えないしな。
昼メシは一緒に食いに行こうぜ。
うまいスープカレーを出す店があるんだが、おじさんひとりだと入りづらくてな」

ぽりぽりと人差し指で頬を掻く池松さんは可愛い。

「よろしくお願いします」

「よかった」
< 50 / 310 >

この作品をシェア

pagetop