おじさんは予防線にはなりません
笑って見上げると、池松さんも笑い返してくれた。



連れて行ってくれたお店は北欧風のカフェだった。
食器はすべて波佐見焼きを使用しているのだと池松さんが教えてくれた。
そういうところに詳しいのも、やっぱりファッションに関わる職業柄、なんだろうか。

「ごちそうさまでした」

「ん」

今日も池松さんがおごってくれた。
毎回、おごられるのは悪い気がするが、頑なに支払うと押し通すのも悪い気がする。
今度、違う形でなにか、お礼がしたいな。


会社までの道を並んで歩く。
池松さんはいつもと一緒で私の歩く早さに合わせてくれる。

「和佳(かずよし)」

かけられた声に池松さんが振り返る。
つられて振り返ると、赤に近い茶髪でマニッシュショートの女性が手を振っていた。
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