おじさんは予防線にはなりません
こっちにやってきていた池松さんに自分がぶつかりそうになったのに、ぎろっと新本さんは睨みつけた。

「カリカリしてんなー」

去っていく新本さんを目で追いながら、池松さんは苦笑いしている。

「羽坂、頼まれごと聞いてくれるか」

持っていたプリントの束を私の前に置くのはかまわないんだけど、いまのはよかったのかな。

「池松さんの頼みだったらなんだって聞きますけど。
……でも、いまの」

「ああ、かまわない。
なんたっておじさんはここの雑用係だからな」

池松さんは笑っているけど、仮にも上司にあの態度はないんじゃないかな。

「んで、羽坂にお願いなんだけど」

「あ、はい」

不満を感じたところで一派遣社員の私になにか言えるはずがない。
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