おじさんは予防線にはなりません
「どこって。
昼メシだけど」

「えー、いいなー。
オレも一緒に行っていいですかー」

だらんと前に落とした腕を、宗正さんはぶらんぶらんと振った。
そういうのは可愛さを狙っているんだろうか。

「いいが、君の分はおごらんぞ」

「えー、池松係長のケチー」

なんだかんだ言いながらも宗正さんは着いてくる。
けれど、着いた先がお高そうな鉄板焼のお店で、急に財布の中身を心配し始めた。

「池松係長ー、オレ、今月ピンチなんですよー」

「知るか」

「池松係長ってばー」

「さっさと来い」

苦笑いで池松さんはお店に入っていき、きっと宗正さんの分まで払うつもりなんだろうなって思った。
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