家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
なんだか知らないがハイテンションで、私の肩を掴んで松岡くんはぐわんぐわんと揺さぶってくる。

「こんな可愛い女、見たことねー!」

大興奮でなにを言っているのか理解できないんだけど、おかしくないよね?

「……なら」

両手で髪を撫でつけて整え、指を揃えて眼鏡をくぃっと上げる。
途端に。

――纏っている空気が変わった。

「俺……私を、本当の彼氏にしてみませんか」

松岡くんは私の前に跪き、恭しく右手を取った。
眼鏡の奥からさっきの小説のように、艶を帯びたオニキスの瞳が私を見ている。
どくん、どくんと心臓が自己主張するかのように大きく鼓動した。
からからに渇いた喉にごくりとつばを飲み込み、口を開く。

「じゃあ――」
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