家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
「慣れるしかないんだよね……」

はぁーっと重いため息をつき、顔を上げる。
その割に鏡に映る私はあきらかに、恋する乙女の顔をしていた。

……別に松岡くんなんて好きじゃないけど。
でも、あんなことされたらこうなるよね。

苦笑いで手を拭いて、茶の間に戻る。
ちゃぶ台の上にはアフタヌーンティの用意が調っていた。

「どうぞ」

紅茶の注がれたカップを黙って口に運ぶ。
いつもはダージリンなのに、今日は香りが違う。

「……これ」

「本日のケーキに合わせてアップルティにしてみました」

林檎の優しい香りで、気持ちが落ち着く。

……もしかして、そんなことまで計算しているのかな。

そうかもしれないし、違うかもしれない。
でも、そう思うと嬉しくなった。

今日は玉子サンドとスコーン、それに林檎のタルト。
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