家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
それから二週間後。
例の作品の件で紹介したい人がいるからと桃谷さんに呼び出された。

「えっと……」

通い慣れた出版社でも違うフロアに戸惑った。

「あ、大藤先生、こっちです!」

私を見つけた桃谷さんが軽く手を上げ、急いでそちらへ駆け寄る。

「もしかして、緊張してます?」

「……してます」

桃谷さんは評価してくれた作品だが、やはりお世辞だったんじゃないかとあとになって思えてきた。
だから別の人間の評価を聞くのは怖い。

「大丈夫ですよ。
私が新人の頃、さんざんお世話になった編集者なんですが、優しい人ですから」

「……なら、いいんですけど」

少し待っていてくださいと打ち合わせブースに通された。
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