家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
松岡くんはわけわからんって顔をしているけれど……そのすらりと高い背に、ナポレオン調の長コートを着てこられてよ!?
さらにはオールバックに銀縁スクエア眼鏡だよ!?
道行く女性を瞬殺してきたんじゃなかろうか……?

あ、でも、来るときはママチャリだから、反対に笑えるか。

「なにを興奮なさっているのですか」

にやり、右の口端だけを上げて松岡くんが私を壁に追い詰めていく。

「だ、だって……」

やめて!
黒革の手袋をはめた手で、私のあごを持ち上げないで!
さらに興奮しちゃうから!

「……そんなに俺は格好いいか」

耳もとで囁かれるバリトンボイスに、脳が沸騰する。
本当に鼻血を吹きそうで、思わず手で鼻を押さえていた。

「……興奮するのは俺だけな。
じゃないと……」

言葉を切って松岡くんは顔を離した。
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