家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
すでに、せっかく巻いてもらったマフラーもいらないほど、身体が熱い。
俯いて黙って歩いているうちに、ポケットの中の手は指を絡めて握られていた。


「ただいま戻りました」

「にゃー」

ちゃんとお留守番していたよ、ボク凄くない?

と自慢げなセバスチャンのあたまを松岡くんが撫でる。

「では、夕食の支度ができましたらお声がけいたしますので」

「よ、よろしく……」

いまだに心臓はどきどきと徒競走でもしているみたいに落ち着かない。
コートを脱ぎかけて、マフラーを借りたままだと気づいた。

途端にさっき自分の手を握っていた、大きな手を思いだし、ぼふっと煙が出る。

「ま、松岡くん。
マフラー、ありがとう」
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