家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
「……いただきます」

気まずいまま、夕食を食べた。
今日は肉じゃがだったが、妙にジャガイモが喉に詰まる。
食べながらなおも必死に、どうしたらいいのか考えた。
今日を逃したら年末年始で次に会えるのは十一日後だ。

「松岡くん。
その……」

「なんですか」

こっちは勇気を出して声をかけたのに、冷ややかな視線で見下ろされ、びくんと身が竦む。

「……ご飯、お代わり」

正直、食欲なんて全くない。

「……ありがとう」

無言で差し出されたお茶碗を受け取り、もそもそとご飯を口に運ぶ。
また泣いたら面倒くさい女だと思われるとわかっていながら、涙がじわじわと滲んでくる。
とうとう耐えられなくなって、慌ててずっと鼻を啜ってごまかした。
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