家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
「は、はい」

契約書を広げ、松岡さんは説明しているが、いまいちあたまに入ってこない。
ただただ、言われるがままにサインして印鑑をついた。

「はい、確かにちょうだいいたしました」

書類を確認し、彼は封筒の中にしまった。
それを脇に置き、あらためて座り直す。

「これから末永くお願いいたします、ご主人様」

右手が取られ、なにをするのかと見ていると……ちゅっと手の甲に口づけを落とされた。

「な、な、な」

「なにって忠誠の証でございますが?
また明明後日、参ります。
では、本日はこれにて失礼させていただきます」

少ししてガラガラぴしゃっと玄関が開いてしまった音がして、我に返る。

……あ、あ、あの男、あろうことか私の手に、キ、キスなんてー!
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