家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
立川さんの立場的には必ず応募してほしいところなんだろうけど、気遣ってくれるあたり、非常に申し訳ない。
犯人は私にもだけど、立川さんにも詫びるべきだ。

お茶を飲みながら少しだけ、世間話をした。

「また、猫に引っかかれたんですか」

「ええ、まあ」

自分の右手の傷を確認して、立川さんは痛そうに顔をしかめた。

「無理に仲良くしようとしない方がいいって、前に言いましたよね?」

――見たんだ、立川が猫を捕まえているところ。

もし、もしも。
松岡くんの言う通りだったとしたら?
この傷は無理矢理、猫を捕まえようとしてできた傷かもしれない。

どくん、どくん、と妙に心臓が自己主張をし出す。
暑くもないのに手のひらがじっとりと汗ばんできた。

「いやあ、僕、こらえ性がないもので。
手を出した途端にバシッ、ですよ」
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