家政夫執事と恋愛レッスン!?~初恋は脅迫状とともに~
なんて癒やされている場合じゃない!

「別に勤務時間外にあなたが猫と遊んでいようと、どうでもいいんです。
ただ、知られたくないからって、わけもなく私を責めたのを怒っているんです」

「それは……申し訳、ありませんでした」

ハチワレの子猫を抱いたまま、松岡さんが項垂れる。
そういうのはいつもは慇懃無礼な癖に、年下なんだって感じさせた。

「でもいつも、野良猫に餌をやるなと怒る人がいる……ので。
俺はちゃんと、ルールを守ってやっているのに」

〝私〟じゃなく〝俺〟って言う松岡さんは、きっとこれが素なんだろう。

「そうね。
空き家の庭に勝手に入り込んで餌をやるのは、完全にルール違反ね」

「……ハイ。
すみません……」

猫を抱いてがっくりと肩を落とし、俯いてしまった姿は、どうしてかちょっと可愛く見える。
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