片想い ~ハツコイの雨~
この木の上は歯が生い茂っていて、意外と人目につかなくて、泣いていても登ってこない限り外からはバレない。

どれくらい泣いていたかな……。

相変わらずの涙を流しているとポツっと頭に水が落ちてきた。

──ザー……。

雨が降ってきた。

私はあっという間にびしょ濡れになって、木の幹の下の方に慌ててある穴に入って雨が止むのを待った。

その雨は、まるで私の心の中を表しているようだった。



雨が止むと、空には大きな虹が架かっていた。

私はその虹になんだか希望を感じた。

気がつくと胸の痛みはなくなって、私の心はこの澄んだ空のように明るくなっていた。

陸斗への気持ちを忘れるには時間がかかるけど、前向きに頑張ろう。
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