お隣さんは私の王子さま
机の横に掛けてたリュックを取って、勢いよく立ち上がる。



「俺も帰る。」



『ごめんね!わざわざ残ってもらっちゃって。』



「いや、別に。」



ちょうど、今日引越しでどうせ帰ったら手伝わされるだけだから。



『えっ?引越し??』



「親父が再婚したから。
今日から、新しい家。」



『そう、なんだ。』



なんて言えばいいのか分からなくて、少し変な答え方になってしまった。



「別に、新しい母親のこととかなんも思ってないから。」



『うん。』



本当になんとも思ってないように靴を履き替える宮崎くんを見て少し安心する。



『新しい家、遠いの?』



「いや。
徒歩10分ちょい、らしい。」



『そうなんだ。
私も歩いてすぐの所なんだ。
近所だったりして。』



素っ気ない態度とか、無愛想な理由とか全部知ったから、一緒に帰る時間は気まずかなかった。
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