正義が悪に負ける時
第1話
第1話
僕の母は、25歳という若さでこの世を去った。
14歳の時に僕をその身に宿し、周囲の反対を押し切って産む事を選択した。
雷の音に怯えた梅雨、眠れない夜、
友達とケンカして泣きながら帰った日、
いつも歌を口ずさんであやしてくれた母。
仕事を休んで、いつも授業参観に参加してくれた祖父。
魚の綺麗な食べ方、煮物の美味しさを教えてくれた祖母。
周りの子には当たり前のようにいた“父”がいなくても僕は幸せだった。
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