正義が悪に負ける時


フユミさんは、
涙ながらに僕を説得し続けてくれた。


彼女自身、お父さんからの愛情を受けられなかった事も話してくれた。


だからこそ、“父”に対して思い入れが強かったのかもしれない。



「・・・・・・・・・・・・
分かり・・ました・・・・。」


ついに僕はその想いに、

ずっと律し続けていた“本音”に屈服した。




「せっかくお義父さんに会う時はいつもバッチリ頑張ってたのに。」


フユミさんは今までにない笑顔を見せた後、涙を拭って洗面台へお化粧を直しに行った。



「もう泣きすぎたから一気にお腹空いた!
今日は“一心”行きましょう!」


「でも・・お金が・・・。」


「・・“義理の娘に遠慮は要らない”っていつも言ってるでしょ?」














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