正義が悪に負ける時
“ピンポーン”
チャイムが鳴ったので俺が玄関まで行くと、真田さんと早苗さんがそこにいた。
心配になって様子を見に来てくれたらしい。
早苗さん達の車に、
茫然自失となった梶山を乗せ、
“任意同行”という形で署まで連行した。
リビングから車に乗せるまで、
そして後部座席に乗った後も。
梶山は念仏を唱えるかのように、小さな声で“嘘だ・・・”と繰り返し呟いていた。
「真田さん・・すみませんでした。
もうこうするしか手が無いと思って・・。」
「いや、俺の方こそ悪かったな。
嫌な役を押しつけちゃって。」
「・・・自供・・してくれますかね。」
「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・するさ。」
早苗さん達の車を後ろから追走する形で、俺も署に戻った。