正義が悪に負ける時
「それにしても・・なんでこんな事になっちゃたんすかね。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「もしもっと早く滝川が梶山に打ち明けていたら、
もしフユミが梶山に隠し事しないで包み隠さず話してたら、
もし梶山がフユミの不貞を疑った時に、
こそこそ探偵ごっこなんかしないで、
直接本人に聞いてたら、
ちょっとした掛け違いが重なって起きたって思うと・・・なんだかやりきれないっす。」
「あと、女将さんが脅しなんかに屈さずに、へっちゃらな顔して通報してくれてたらね・・。」
「まっ、小西も早苗もそんな難しく考えるなよ。」
「意外とあっけらかんなんだよなぁ真田さんは。
滝川と梶山が父子だって分かった時は泣いてたくせに。」
「え!?それは見たかったなぁ~。」
「・・・・・そんな事あったか?」
とぼけた真田さんが逃げるように“トイレ”と言って席を立った。