正義が悪に負ける時


「そういえば小西。

真田君と一緒に、梶山の家に向かってた時の話なんだけどね。」


さっき店員が持ってきた早苗さんのジョッキが、いつの間にか残り僅かになっている。


「“完全犯罪はこの世に存在するか?”
っていう話になったの。

ほら、今回だって自供が取れなかったら、
少なくとも梶山は逮捕出来なかったし。」


「・・真田さんは何て言ったんですか?」


「“有り得ない”って即答したよ。」


「なんか・・あの人がそう言ってくれると安心しますね。

あの時、梶山に言われたんですよ。

“警察がいつも勝つと思ったら大間違いだぞ”って。

俺、その言葉が何か凄いグサッときてて・・。」



「真田君言ってたよ。

“正義が悪に負ける時はあっても、
警察が犯罪者に負ける事は無い”って。」



「・・どういう意味ですか・・・?」


「ちょうどそこで梶山の家に着いたから私も聞けなかったんだよねぇ。」


その時、タイミング良く真田さんがトイレから帰ってきた。


席に座るなりさっそく今の話をして、
どういう意味なのか質問する。


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