正義が悪に負ける時



<明日の昼過ぎ、ご自宅までお伺いしても宜しいでしょうか?>


「・・・・はい・・・。」


<ありがとうございます。

奥様についてお伺いしたいことが何点かあります。

なるべく手短に終わらせますのでよろしくお願いします。>



僕が警察と関わるのはこれが最後になるだろう。


恐らく小西は、フユミ自身の事。

そして彼女の不倫相手について僕に心当たりを聞いてくるに違いない。


不倫相手については“何も知らない”と答えれば良い。

現に名前や素性など、
顔以外あの男の事は何も知らない。


そして、妻の不倫の事実を初めて知ったていで、再び小西の前で泣き崩れれば終わりだ。




僕が殺人者となって完全犯罪を犯すまでの軌跡、

これはそのエピローグ。


ただの被害者の旦那として捜査線上から僕は消え、

僕の完全犯罪は“Fin”の文字と共に完結・・・・・



“ピンポーン”



「・・・・・・。」


時計を見ると、小西と待ち合わせをしていた時間よりは少し早かった。


それでも誤差の範囲内。


フゥ~と息をついて、
暗い表情を作りながら玄関へと向かう。


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