正義が悪に負ける時
第4話
第4話
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「どうぞ、何も無くて申し訳ございませんが・・。」
「ありがとうございます。」
被害者、梶山フユミの夫アキラが湯飲みを2つ、俺と真田さんの前に置いた。
「あ~~~染みる。」
ピーピーの胃腸を労るかのように、真田さんは遠慮無くそれを口に運んだので俺が切り出す。
「梶山さん。早速ですが、
まずこちらの写真を見て頂きたいんですけど・・・。」
取りだしたのは日本料理店“一心”の写真。
それを不思議そうな表情を浮かべた梶山が手に取る。
「このお店、ご存知ですか?」
「・・いえ・・・知りません・・。」
「例えば奥様がこのお店の話をしていたとか、
あるいはここの従業員に知り合いがいる・・なんて話を聞いたことは・・?」
「・・・・・いや・・僕が知る限り無かったと思います・・。」
「そうですか・・。」
「あの・・このお店は一体・・?」
「奥様が亡くなる直前、このお店で食事をしていた事が確認出来ました。
まだ捜査段階なので何とも言えませんが、
毒をここで摂取した可能性がありまして・・。」
「日本料理店“一心”・・・。」
梶山は再び写真を見つめるけど・・空振りかな・・?
「申し訳ございません。
心当たりはありません。
あ・・妻はよく義母と食事へ出掛けることがあるので、お義母さんなら何か知ってるかも・・。」
「残念ながら、奥様のお母さんにも聞き込みをしましたが、知らなかったそうです。」