正義が悪に負ける時
「・・どうぞ・・。まだありますのでまた仰ってください。」
鼻をすすりながら梶山が真田さんの湯飲みを再びテーブルに置いた。
「これはひょっとして・・静岡のお茶ですか?」
「・・はい・・・。出張で行った時はいつも買ってくるんです。」
「どうりで美味しいわけだ。
じゃあ遠慮無く。」
いや確かに静岡のお茶は美味いけど・・。
真田さんが再び俺に目配せしてきたので話を再開する。
「梶山さん。お辛いと思いますが捜査の為にお教えします。
奥様と一緒に亡くなっていたこの男の名前は滝川ゲンジ。
この名前、もしくはこの顔に覚えはありますか?」
「・・・いえ・・ありません・・・。
あの・・この人はいつから妻と・・?
どこで妻と知り合いに・・?」
「まだ捜査中でそこら辺が何とも・・。何か分かったらまたご報告に上がります。」
その後、
フユミに恨みを持っていそうな人物、
フユミの普段の生活振りを聞き込み、
今日の目的はあらかた済ました。